それって本当に「ずるい」こと?

「幼児が公平・不公平をどのように捉えているか」に関する、4~5歳児を対象に行った調査では、5歳頃になると「ずるい」という概念がハッキリして、正しい使い方ができるようになる、という報告結果があります。
そして、5歳児が最も「ずるい」と感じるのは、「独占」に対してでした。
遊具を独占して他の子に譲らない。
二つあるシャベルを両方とも独占して砂場遊びをする。
このような「独り占め」する行為に対して、5歳児は強く「ずるい」と感じるようです。
次に「先を越されたこと」に対して、「私が先に見つけたのに!」「今やろうと思ったのに、あとから来た○○ちゃんがやってしまった」というようなことで、「ずるい」と感じるようです。
調査は幼稚園・保育園内の活動に対するものでしたが、家の中では兄弟姉妹の間で「ずるい!」という言葉が飛び交うこともよくあるような気がします。
兄弟でお菓子を二等分する時、兄が自分の方を気持ち大きめに切って、小さい方を弟に渡すと「お兄ちゃんの方が大きくてずるい!」ということになります。
「ずるい」は、何らかのインチキや不正的な行為により、不平等が生じている場合に使用される言葉ですね。
「お姉ちゃんだけ、いつも新しい物を買ってもらってずるい!」どうやら、これもよくありそうなケースです。
お姉ちゃんが何かインチキや不正をしたわけではないですが、お下がりの多い下の子が「ずるい」と思う気持ちはよくわかる気がします・・
大人が「ずるい」と思う時
大人になっても、もちろん「ずるい」って思うこと、ありますよね。
- ダイエットとは無縁の、食べても太らない体質の人
- 感がよくてすぐコツをつかむ人
- 親から資産を受け継いで遊んで暮らしている人
こんな人が近くにいたら思わず「ずるーい!」って、言ってしまいそうです。
が、この場合の「ずるい」は、本来持つ意味というよりは、「いいなぁ~」「うらやましいなぁ~」という意味合いで使っている感じでしょうか。
自分には叶わぬ(できない)ものだと思っていることを、他の人が事もなげにやったりすると「ずるい」と感じるようです。
それから、調子よくてちゃっかりしていたり、強引に自分の要求を通してしまえたり、甘え上手だったり、努力せずにいい思いをしたりする人を見ると、それができない人は「ずるい」と思うのかもしれません。
その場合、自分のこのような思い込みや囚われが、大きく影響していたりするのです。
- きちんと筋を通さないといけないのに
- 相手が嫌な気持ちになるようなことはしてはいけないのに
- 人に甘えてはいけないのに
- いい思いをするためには努力しないといけないのに
など、自分自身の強い思い込みや囚われがあると、それを平気でやってのける人に「私は我慢しているのに、あの人はずるい」という不公平感が湧くのです。
それって本当にずるいの?
できるものなら自分だってそうしたいのに、それができない。勇気がない。
自分ができないでいたり、我慢していることを、他の人がいとも簡単にやってしまって、しかもそれでいい結果を手に入れた時、不平等だと感じて「ずるい」ということになるようです。
「あの人は何も我慢していないのに、それなのにいつもいい思いをしてずるい。」
「私はこんなに我慢しているのに、いつも自分ばかりが損をしてる気がする。」
でもこれって、相手が何かインチキや不正行為をしたわけではありませんよね。
おそらく、単にちゃっかりした性格であったり、強引であったり、甘え上手な人であったり、努力を努力に見せない人だったりするだけだと思うのです。
自分自身にインプットされている「○○しないといけない」を、「当然相手もそうであるべき」「できないならば我慢すべきだ」という価値観を、相手に押し付けて、「ずるいずるい」と言っているのだと気づくだけで、ふと楽になったりするかもしれません。
須藤 有紀
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